FFA加速器
FFAとは固定磁場強集束 (Fixed Field Alternating gradient) の略であり、「時間的に一定な磁場」と「強集束の原理」を満たしたリング加速器であることを表しています。FFA加速器は他の加速器に見られない特長を有しています。
①時間的に一定な磁場
②強集束の原理
③零色収差
これらの特長から、短寿命の粒子の加速や2次粒子(中性子, ミュオン等)の発生器である大強度加速器として期待されています。
九大工学部公式チャンネルが加速器のVR動画を投稿しています。 Youtube
PoP FFAG
PoP (Proof-of-Principle)-FFAGはFFAG方式の原理を実証するために設計・建設され、世界で初めてFFAG方式による陽子加速に成功した加速器です。加速実験は2000年に高エネルギー研究開発機構(KEK)で行われました。
加速器駆動未臨界炉
加速器駆動未臨界炉 (Accelerator-Driven Subcritical reactor、ADS) は、加速器を用いて生成した中性子を用いて核分裂反応を起こす原子炉システムです。(通常の原子炉は、核燃料から発生した中性子を用いて核分裂反応を起こしています。)
この原子炉システムには以下の利点があります。
①通常の原子炉とは異なり核燃料は臨界に達しておらず、加速器を止めれば炉は停止するため本質的に安全である。
②半減期数万年のマイナーアクチノイドを核分裂で焼却できる。
③大量の高速中性子が得られるので核燃料の増殖の効率が良い。
参考文献:(ウィキ)加速器駆動未臨界炉
陽子線がん治療
陽子線がん治療とは、水素の原子核を加速して生成する「陽子線」を用いたがん治療の方法のことです。従来までの治療で使用されてきたエックス線やガンマ線と異なり、陽子線には設定した深さに到達したときに最大のエネルギーを放出して停止するという特性があります。そのため、腫瘍のみをピンポイントで治療することができるという利点があります。
BNCT (ホウ素中性子捕捉療法)
ホウ素中性子捕捉療法 (Boron Neutron Capture Therapy:BNCT) とは、薬液によりターゲットとなるがん細胞にホウ素を取り込ませておき、そこに中性子を照射することで核反応を利用して腫瘍細胞を内部から破壊し、死滅させる治療法です。中性子の照射により、ホウ素は細胞膜や核内のDNAを破壊するはたらきを持つヘリウムとリチウムに分裂します。この二種の原子核は狭い範囲でしか殺傷能力を持たないため、正常な細胞を傷つけず、ホウ素を取り込んだがん細胞のみを破壊することができます。そのため、身体への負担が少ない最先端の放射線がん治療法として注目されています。